缶ハイボールの元ウイスキーは?4本を18軸で比較
角ハイボール缶・トリスハイボール缶・ブラックニッカ クリアハイボール缶・ジムビームハイボール缶のベースになっているウイスキーを、実飲レビューの18軸データで確認。缶とボトルで印象がどう変わるかも合わせて紹介します。
角ハイボール缶を箱買いして冷蔵庫に常備している——そんな人は多いと思います。 その缶に使われているのは、多くの場合、同じ名前を冠したボトルウイスキーがベースです。ボトルで飲むと、缶では感じなかった刺激や苦みまでそのまま出てきます。 244本を自分の舌で飲んでレビューしてきた記録と、各メーカーが公開している商品情報を突き合わせて、定番の缶ハイボール4種のベースになっているボトルを確認しました。
なぜ「いつもの缶と同じ銘柄」が一番失敗しない選び方なのか
ボトルで新しいウイスキーを試そうとすると、銘柄の多さに圧倒されて結局選べない——という経験がある人も多いと思います。ここで一番確実なのは、今すでに気に入っている缶ハイボールのベースになっている銘柄から試すことです。
理由は単純です。缶ハイボールは、原酒を炭酸と水で割り、メーカーによってはレモンスピリッツなどを加えて飲みやすく調整した完成品です。ベースの原酒そのものを知らずに好きだと思っているだけで、実は好みの方向性はすでに分かっているのと同じだからです。ボトルで試すときに一番外しにくいのは、まったく知らない銘柄に手を伸ばすことではなく、すでに毎日の1本として認めている缶の"素顔"を確認することだと私は思います。
角ハイボール缶の正体は、角瓶だった
サントリーの角ハイボール缶は、その名のとおり角瓶ブランドの原酒をベースにした缶ハイボールです。サントリーが公表したリニューアル情報でも「ウイスキー原酒を厳選するとともに、レモンスピリッツの種類と配合を見直しました」と説明されており、缶の時点でレモンスピリッツや炭酸圧が調整されていることが分かります。
サントリー角瓶を実飲データで見ると、アルコールの辛さ5・甘み4・苦み4というバランス型。私が特に気に入っているのは、香りに角がなく、時間差で効いてくる刺激の出方です。
口に入れた瞬間は辛くないけど、ちょっと時間が経つと舌やのどに刺激がやってくる
このボトル、実はレビュー時点で私自身がハイボール専用機だと太鼓判を押していました。
やっぱり角瓶はハイボール特化ウイスキーだ!
缶で気に入っている人がボトルへ移っても、味の方向性が急に変わる心配はほぼありません。むしろ自分で濃さを調整できる分、缶よりも角瓶らしさを強く感じられるはずです。
トリスハイボール缶の正体は、トリス〈クラシック〉だった
トリスハイボール缶のリニューアル発表では「トリスウイスキーならではのまろやかな余韻がより感じられる中味に仕上げました」と説明されています。このトリスウイスキーは、この記事で扱うトリス〈クラシック〉がリニューアルで改称した現行の商品名です(中身の系譜は同じトリスブランドの原酒)。実飲データではアルコールの辛さ1・甘み5・余韻の長さ1と、4本の中でもっとも刺激が穏やかで、後味も短く消えるタイプでした。
水で薄めた砂糖水
私はこの表現を初めて読んだとき笑ってしまいましたが、裏を返せば刺激も雑味もほとんどなく、缶ハイボールの延長線上でそのまま試せるという意味でもあります。実際、初心者向けの評価でもこう記録していました。
ウイスキー初心者の人にもとても飲みやすい!
4本の中で一番「缶の延長」として飲みやすいのがこの1本だと思います。
ブラックニッカ クリアハイボール缶の正体は、ブラックニッカ クリアだった
メーカーの製品説明でも、ブラックニッカ クリアハイボール缶は「ブラックニッカ クリアを、研ぎ澄まされたクリアな味わいの本格炭酸水『ウィルキンソン タンサン』で割った」ハイボールと説明されています。ブラックニッカ クリアを実飲データで見ると、アルコールの辛さ5・果実味4・苦み2。角瓶より苦みが少なく、酸味と香ばしさがすっきりまとまっているのが特徴です。
アルコールの辛さもそれほど強くなく、酸味と香ばしさがすっきりとまとまり
じわじわ辛い → ほのかな苦み → 後味は特になし
苦みが少ない分、ボトルで飲んでも「重たさ」を感じにくいタイプです。角瓶と飲み比べると、同じ「クリアなハイボール向き」でも苦みの出方がはっきり違うのが面白いところでした。
ジムビームハイボール缶は、レモンを効かせた"ジムハイ"仕様
ここまでの3本と少し事情が違うのがジムビームです。メーカーの説明によると、ジムビームハイボール缶は飲食店の"ジムハイ"の味わいを目指し、「複数のレモン蒸溜酒を加えることで、よりいっそう香りがよく爽快な味わいを実現しました」とされています。ジムビームをベースにしたリキュール分類の商品で、缶の時点でレモンの香りが加わり、素のジムビームより軽く・爽やかな方向に調整されています。
ジムビームそのものを実飲データで見ると、甘み8・アルコールの辛さ7・ボディ7と、4本の中で圧倒的に濃く力強い数字が並びます。
カラメルのような甘みがやっぱり強く、甘さが辛さを打ち消しており飲みやすい
シャンプーに使われるような、人工的なお花の香りも漂う
缶で「ジムビームは軽くて飲みやすい」と思っていた人ほど、ボトルのストレートやロックで飲むと甘みと刺激の強さに驚くと思います。レモンの香りで隠れていた本来の濃さが、そのまま出てくるからです。
缶と同じ銘柄なのに、ボトルだと味の印象が変わる理由
4本を並べてみると、同じ「定番の缶ハイボール」でも、ボトル単体の実飲データではっきり性格が分かれることが分かります。
- 角瓶: アルコールの辛さ5・甘み4(バランス型)
- トリス〈クラシック〉: アルコールの辛さ1・甘み5(4本で最も穏やか)
- ブラックニッカ クリア: アルコールの辛さ5・苦み2(すっきり系)
- ジムビーム: アルコールの辛さ7・甘み8・ボディ7(4本で最も濃厚)
缶の状態では炭酸と水、銘柄によってはレモンスピリッツまで加わって、この差はかなり均されています。ボトルで飲むということは、この「均される前の個性」をそのまま受け取るということです。特にジムビームは缶のイメージのまま飲むと、刺激と甘みの強さに戸惑うかもしれません。
普段の1本からどう試すか
迷ったら、まず自分が普段飲んでいる缶ハイボールと同じ銘柄をハイボールで試すのが一番安全です。角瓶やブラックニッカ クリアなら缶とほぼ同じ方向性のまま、トリス〈クラシック〉ならさらに穏やかに、ジムビームならより濃く力強く感じられるはずです。
ハイボール向きウイスキーの一覧には、同じ観点で編集部評価の高い銘柄をまとめています。缶から一歩進んで違う銘柄も試したくなったら、7問の診断で自分の好みの方向性を確認してから選ぶのが遠回りに見えて一番早いと思います。
掲載の銘柄・数値は、筆者が実際に飲んでレビューした記録の味覚データと、各メーカーが公開している商品情報にもとづきます。缶ハイボールの製法・原材料は商品ごとに変更される場合があるため、最新の情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。価格・在庫は時期により変わるため本文では扱っていません。